2010年2月16日火曜日

毎日新聞に掲載していただきました。2010年2月16日

ひと:竹中麻衣子さん ふろしきでベトナムの子らを支援

 「端切れのように捨てられる子どもたちに、端切れを使って生き抜いてほしい」

 19歳の時、あてもなく一人訪れたベトナムで、多くのストリートチルドレンを目にし、胸が張り裂けそうになった。その自活の道を現地で探っていた08年、職業訓練で器用に縫い物をする女の子を見て「これだ」と思った。

 集めてきた端切れを使って世界に一つしかないふろしきを子どもたちに縫わせ、その代金を生活費に充てるプロジェクトを進める。販路開拓に歩き回り、地元・和歌山だけでなく東京、大阪の喫茶店などにも広がってきた。

 留学先の米国でベトナム人女性と知り合ったのが、一人旅のきっかけ。「路上で寝起きし、読み書きのできない子ばかり。裸足で走り回り、放置された注射針でHIV感染する子も。衝撃の連続でした」

 これまで約10回訪問。組織には属さず、子どもたちと一緒に食事し、昼寝し、サッカーに興じる。銃を突き付けられたりデング熱にかかるなど、死の恐怖も味わったが、その経験から「あなたたちの気持ちが分かるよ」と言えるようになったと感じる。

 懸命に生きる子どもたちに接し、「死にたい」と漏らす日本の小中学生に危機感を覚える。「布団で寝られる幸せをくれた両親への感謝」の気持ちも募る。思いは祖国、古里と、ベトナムを行き来する。今月下旬からは再び現地へ。手土産はいつも古里・湯浅町名産のしょうゆだ。【嶋谷泰典】

 【略歴】竹中麻衣子(たけなか・まいこ)さん 和歌山県湯浅町生まれ。地元でヨガのインストラクターをしながら活動。27歳。

毎日新聞 2010年2月16日 0時09分(最終更新 2月16日 2時31分)

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