2015年5月16日土曜日

2015年 4月 活動報告



皆さんこんにちは。

早いもので、今年も立夏が過ぎました。
湯浅では、新緑まぶしく、ツバメが飛び交い、町中みかん花の好い匂いで包まれています。
 414日から29日までベトナムで活動してきましたので、今までの経過も含めて報告をさせていただきます。
 昨年9月、プロジェクトの現地担当をしてくださっていた栗須さんが帰国を決意し、それ以降は 主に作り手達に任せてプロジェクトを細々と続けていました。その後、解ったことは、日本人が誰も居ないと、彼らはそれぞれ自宅での作業は続けてはいても、皆で前のように月に一度集まるということはせず、ほとんど連絡もお互い取り合ってはいないようでした。栗須さんが居たときまで続いていた月一の集まりは、あくまで「仕事」と割り切って3人(ラムさん,フエさん ,チャンさん)は付き合っていたようです。もともとは、普段から仲の良い友達付き合いは無かったですし、また、それぞれ生活するための仕事をしているので、3人ともが合う時間がなかなか無いようです。
 それで、個人的な判断から現地に赴いた際には、それぞれ個別に逢って、それまでの様子を伺ったり、各々に合ったレベルでの仕事を出来る範囲で提供し、出来た仕事に対し、今までと同じように手渡しで給料としてお金を渡すようにしてきました。
 昨年9月に一度確認した風呂敷の在庫を観て以来、その存在がとても気になり、とにかくそれを売らなければいけない!どのようにしたらうれるだろうか?と日々考えて来ました。
 その結果、以前の委託販売先に加えて新たな委託販売店を増やしたり、風呂敷の形からバッグやエプロンなど新しい商品に作り変え、違う形で消費してもらえるような工夫もしてきました。
 今回の滞在では、委託販売先に足を運び、お客さんの好みを伺い、商品の入れ替えをし、売れていた分のお金を受け取りに行く作業をしました。風呂敷は思っていた以上に売れていたので、時間は掛かるだろうけど、やはり私のプロジェクトの趣旨(エコ+手作り+オシャレ+日常で使えるもの)に賛同してくださる方は増えている様に思います。
 また、ホーチミンへ行く前からワークショップを企画し、2週間の滞在ではありましたが、2回のワークショップを行いました。一箇所はフランス人の友人が経営しているオーガニックのお店とのコラボで、プロジェクトを知ってくださっている駐在の奥様方対象に行い、私の今までの活動の経緯や活動への想いを伝え、風呂敷の包み方も一緒に勉強し、最後に即売会を行いました。
 もう一箇所では、友人のビンさんがベトナム人対象に企画してくれ、彼の日本製陶器を販売しているお店で”Furoshiki”の意味や、日本文化の紹介も交えながら、私の活動の趣旨、そして風呂敷包みの実践を楽しく学び合いました。
 初めてラムさんのお家へ尋ねてきました。個人的には今まで観てきた極貧者の住環境に比べて、小さな部屋ではありましたが、とてもきれいなマンションの一室でした。しかし、一緒に行ったビンはあまりの貧しい生活区域に驚いていました。ベトナム人でも行くことの無い、知らない現実を私は観てきたので、富裕層のベトナム人の反応は大体予測できます。
 ラムさんと、ラムさんのお母さんは器用に色々な作品を仕上げてきます。今回は、以前注文していた仕事(小さ目サイズのリバーシブルのバッグと、ワインボトル専用の袋)の出来をチェックし、出来た分に対してお金を渡し、そして新たな作品(小さい袋に入れることの出来るエコバッグ)作りに取り掛かってもらいました。
 正直、その作品を受け取れるとは思っていませんでした。というのは、前回ラムさんに逢ったとき、彼は意識朦朧の状態で、話をしていても目が虚ろで、焦点が合っていなかったので、無事に帰れるのかな(><)もしかしたら、このまま死んでしまうのでは(><)と心配していました。HIVに感染している仲間とはたくさん付き合ってきた経験から、いつどこで急変するか解らないのは理解できます。
 数日して、エコバッグの出来を見たら、驚くほどにオシャレに出来上がっていて、自転車やバイクなどで買い物に行くベトナムではポケットにさっとしまえる機能性から、オーガニックのお店でも気に入ってもらえ、そのお店で販売決定!これから、そのお店のロゴも足してコラボ商品とすることになりました。 
 そのお店では、以前私が見せた、新聞をリサイクルして作る紙袋を気に入ってくれ、即そのお店独自のサイズでラムさんに注文してくれるようになり、今では定期的にお店から注文が来るようです。店主いわく、その紙袋は「かわいい!」とどのお客さんからも大人気だそうです!
 作品チェックの際、私が着ていたパッチワーク調のワンピースをラムさんのお母さんが見て、それを作れるというので、一度試しにそれと同じのと、もう一つはいているとよく褒められるロングスカートを渡し、今ある風呂敷を利用して、同じ型を作ってきてもらうことにしました。その後、ワンピースの方は難しかったようで、私の母が昔作ってくれた着物生地のワンピースを新たに渡して再挑戦してもらいました。
 そして、帰国する前日に仕上げてきたので、それをチェックしてみると、何とその上出来さにびっくり!もちろん全て手縫い!!!脱帽でした!本当に可愛い作品に喜びを隠し切れませんでした!私がとっても嬉しそうだったので、ラムさんもずっとニコニコして二人で喜びあいました。素晴らし出来に納得したので、また別の型(服やキャミソールなど)も渡し、いくつか仕上げてもらうことにしました。この作品であればきっと皆さん欲しくなる作品です!なんと言っても、ミシンを使わ無い全て手縫い物は美しいです!是非一度自分の手に取って見ていただきたいです(:
 今、ホーチミンはインフラの発展が凄まじく、人々はビジネスでの成功やお金を稼ぐことに一分でも、一秒でも必死で、私個人的には忙しい都会にも、人々にも疲れを感じていました。
 しかしそんな時、友人がラムさんに直接仕事のことで連絡をした際、「maikoからの仕事しか請けない。」と返答したことに対し、ベトナムでは稀なことなので、彼女も驚き、また彼の誠実さを賞賛していました。多くの人は、お金や地位を何よりも優先していく様子に悲しくなっていたので、生活に困っている彼がお金よりも大切なものを大切にして生きていることに感動しました。
 ラムさんはいつも作業を丁寧に仕上げてきますし、時間厳守であり、たまに創作で作品を仕上げてプレゼントしてくれたりもします。そんな彼の人間性、私の方が見習うべきところであり、本当に心から尊敬しています。
 自分が何をしているかを知ってもらうこと、また都会の中で多くの人々と競い合うことは私の生き方では無いけれど、彼のような人と関わり、「本当に大切なもの」を守って生きていければ十分だと想いました。
 フエさんからは、Ao Showとのコラボである刺繍のランチョンマットは売れ行きが悪いので、今はコースター作りを田舎の人たちが少しずつ続けていることを聴きました。コップを置くと立体型になる新作のコースターは現地でも好評で、ぼちぼち売れているようでした。出来ている分を日本に持ち帰って販売するため、買い取って来ました。日本でも売れ行き好調です!私個人的には、ベトナム文化が現れている素敵な刺繍作品はとても気に入っているのですが、オペラハウスではなかなか売れていないようなので、また何か方法を考えなければと思っています。。。。
 チャンさんが逢いに来てくれた時、見るからに大怪我をしているので聴いてみると、前日バイク事故に遭ったとのことで。。。私自身も同じ目に遭ったことがあるので、その恐怖感を思うと胸が痛くなりました。ゆっくりと安全運転していたのに、後方から二人乗りのバイクにやられたようで(><)私の時と同じ手口です。ホーチミンの治安は年々悪化しています。
 驚いたことに、今ホーチミンでは子供が拉致された後に臓器を売られるという凄まじい被害も出ているとのことで、恐ろしくなりました。
 自分が気を付けていても被害にあってしまうこともあり、本当に生きていられることが奇跡だと感じることがあります。
 チャンさんは、歩くことの出来ないおばさんをどうにか助けているようですが、なかなか刺繍作品が売れないために、今は仕事を発注することが出来ていません。帰り際に、二人分、小額ですが足しにしてもらおうと渡しました。
 ベトナムでは430日の戦勝記念日に際し、祝賀ムードで街は警察官があちこちで警備をし、大変な準備が行われていました。社会主義に賛同する若者達のデモを観た時は、ぞっとしました。
 日本は今年で戦後70年、ベトナムでは40年。どちらの国でも、西洋に追いつけ追い越せと経済成長と機械的な発展を必死で目指してきました。そして今、どちらの国でも多くの人々が物質的な豊かさを得た分、心の貧しさと貧富の差が問題になっているように思います。
 今一度、私達人間が本当に大切にしなければいけないものは何か、立ち止まって考える必要が大いにあるのではないでしょうか。私は、そうゆう行動を起こせる人が一人でも増えることを心より願っております。たとえ「カタツムリの速度」でも社会が善いように変化していくこと、そして何よりも一人ひとりの心の平穏と、世の中の平和を常に祈っております。
 最後に、いつも言っていることですが、私がこうして活動を続けてこれているのも、家族や多くの仲間の支えがあってこそです。それが無ければ、私の存在もありえないと思っています。関わって下さっている方々、応援してくださっている皆様に、心より感謝しています。
 私の行動や、言動で至らぬところもあり、ご迷惑をお掛けしていることもあるかと思いますが、今後ともご指導のほどどうぞよろしくお願いいたします。

                                                拝

五月吉日

竹中麻衣子






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